「来週の週末は一緒に過ごせません」

修吾に、突然そう言われたのはいつものように金曜日のお二人様で過ごしていた日のこと。

会社帰りに待ち合わせてご飯を食べて映画を見た帰り道、思い出したかのようにそう言われた。

「そっか。分かった」

「・・・寂しい?」

顔を覗き込んでそう聞いてくる表情はメガネ越しとはいえ、ワンコ。最近修吾はたまにこうやって小出しにワンコを出してくる。

まるで私の反応を楽しむかのように。

今だって、可愛らしい表情のその下は「寂しい」の言葉を待っている意地悪な笑みを貼り付けているに違いない。だから、私もあえてそんなことは言わない。

「別に。久しぶりにお一人様満喫するからいい」

「素直じゃないですね。そこで寂しいななんて言ったらじゃあ土曜日会いますか?って言うのに」

「土曜日?」

寂しいと言わなければ悔しそうな顔をすると思ったのに逆にまた私が反応してしまった。