家に着くと予想していた通り、静寂が広がった。



彼女は彼女で、初めての土地でしかも有名な会社の社長に見られている。



そのせいか、緊張と恐怖で握っている手が小刻みに震えていた。



「今までオレに不自由なくさせてもらったことは感謝している。



だけど、コイツだけは。



コイツだけはオレの隣に立って欲しいと想った」



「お前は席を外せ。彼女に話がある」



親父に言われたら、オレは席を外すしかない。



彼女には悪いと思うけど、オレは一旦部屋から出た。



しょうがない。


これはオレの最後の願いであって、永遠の願いなんだから。