あれから恵介に連れられていつものバーにいる。

「それで、聴きたいことは?」

私の心を読むなと言ってやりたいけれど、聴きたいことがあるのも事実。
今聴けるのなら聴いておこう。

「どうして、恵介がお見合い相手だったの。」

父は最初、建設関連の会社の方だと言っていた。

恵介は製薬会社だ。
分院建設では父が言うほど関係しないはず。

「美華が最初に聞いてた人には悪いんだけど、俺が美華との見合い話を横から掻っさらったんだ。
美華と結婚したかったから、親に頼んで見合いの場を設けてもらった。」

掻っさらったって...
私の知らないところで起こっていた事実が今、私の心に入ってくる。