「でも俺は、やっぱり奥さんは専業主婦になってもらいたいな。」

いつかと同じ会話を再びしていることに彼は気づいているんだろうか。

「奥さんが働きたいって言っても?」
「だって、自分の妻が他の男と接する機会があるなんて嫉妬しちゃうだろ。」
「そういうものかな。」

せっかくの休日だったというのに突然電話が鳴り、来たか、という気持ちで職場へ向かい緊急業務を終えた。
そして、夕食を摂るためにずっと通っているバーへ足を運んだ。
ここの食事はレストランよりも美味しいと思えるから不思議。

いつの間にか通っているうちに知り合いになった男性、名前は恵介というらしい。
30歳というけれど、まだ20代で通用しそうな見た目。

今日も彼は、私より少し遅くこの店にやってきた。