突然教室に響き渡った音に、みんな一斉に廊下の方を見た。

箸でつまんだからあげが、ぽろりと落ちる。

慌てたけれど、からあげは空だったお弁当箱の中に落ちて無事だった。

大好きだから最後にとっておいたのに、床に落ちたら悲しすぎる。


ほっとしながらわたしも廊下の方をに目をやった。

ドアを叩きつけるように開いたらしい男子生徒が、入り口に立っている。

うつむいていてその顔は見えないけれど、染めて痛んだ短い髪で、それが誰なのかはすぐにわかった。



「なんだよ栄田。ドアぶっ壊れんだろ~」


近くにいた男子がからかうように声をかけても、彼は無反応だ。

ドアを開けた態勢のまま、一時停止のボタンを押されたように固まっている。