『とべぇー!!』

ガサガサガサガサッ!!猛烈な勢いで木の中をホウキに乗った少女が滑る。

「どっひゃぁー!!!」

その声に森の動物達は、【恐ろしいモノが来た!】 と逃げ惑う。
ドサッ!地面に落ちた 【恐ろしいモノ】 を見に、動物達が集まって来た。
恐る恐るソレを見ると、【な〜んだ!また、フロリエかぁ〜】とホッとして
去って行った。

「いったぁーい!もう、ちゃんと飛べっての!このポンコツホウキ!!」

コツンとホウキを小突くと、ポキッと折れてしまった。
どうやら、落ちた衝撃で弱くなっていたところを小突いてしまったらしい。

「うへぇー!これじゃ、帰れないじゃん〜!」

頭を抱えてゴロゴロと転がる少女の前に、いつの間にか凛とした美しい女性が、仁王立ちで少女をすんだ瞳で見下ろす。

「……フロリエ、お前またホウキを……!」

少女を、苛立ちながら見つめる。そして、自分の銀のホウキを取り出すと
後ろに乗るようにうながす。少女は顔をぱぁぁぁ!と顔を輝かせ、その人、
ティアのほうきにまたがる。

「ありがと!お母さん!」

ティアは、自分の透き通った銀の髪を耳にかけ、愛娘のフロリエにニコリと
微笑みかける。

「このバカ娘。」

広い空に親子の笑い声が響いた。