「ん……」


目を覚ますと、見慣れた部屋に横たわっている。


「…ここは…」


そうだ、あたし在政様の事を皆に話したんだった。
それで、そのまま眠っちゃったんだな。

体から痺れも無くなったし、もう動いても大丈夫そう。


「あれ……?」


手に違和感があり、両手を見る。
すると、右手を家光様が、左手を赤が握っていた。


「ははっ、何これ。って、赤はいいとして、家光はここで寝てたらやばいんじゃ……」


この子、お姫様なんだけど??
しかも、雑魚寝だよ。


でも、きっとあたしが眠ってから、ずっと二人は傍にいたんだろう。



「本当に……優しい人達…」


離れるのが、寂しい。
とっくに、ここはあたしの居場所になってる。


「ありがとう、二人とも」


二人を起こさないように、そっと体を起こし、掛け布団を二人にかけた。


もう二度と、ここには帰ってこれないかもしれない。



静かに立ち上がり、襖に手をかける。
後ろ髪を引かれる思いだった。