先日の自動車工場の経営者が殺害された事件も解決していないそばから、その事件は起きた。

倉本の携帯電話が着信する。

電話の主は、歌舞伎町で診療所を営んでいる女医の田中 美奈(たなか みな)だ。

『さっき女子高生がウチの診療所に、治療してほしいって来たんだけど、ちょっと様子がおかしいの』

「様子がおかしい?」

倉本は美奈に説明を促す。

『何でも、象だかマンモスだかの仮面を被った大男に襲われて、生贄だから死ねとか言われたって…』

「生贄?」

何とも変質的な話だ。

とにかく、詳しい話を聞かなければならない。

倉本は巽と共に、美奈の診療所へと向かった。