駆け上がる事、1分。

倉本と巽の辿り着いた先に、男はいた。

鬼首會総本部3階。

革張りの椅子に座るその男。

三代目鬼首會組長、鬼首 春樹。

4万人を擁する日本最大の暴力団組織、鬼首會のトップ。

本来ならば、鬼首『會』なのだから『会長』という肩書きが正しい。

しかし、鬼首は言うのだ。

『世間様に顔向けできねぇヤクザもんの分際で、会長だなんて偉そうに名乗れるもんか』

それ故に、鬼首は自らを『組長』と称する。

鬼首は極道という存在に、特別な思い入れを持っていた。