呆気ないほど簡単に。

象男の巨体は地に伏し、そのまま動かなくなった。

ショットガンのスラッグ弾を肩口に受けても、火を点けられても、どれだけ打撃を浴びせても、ビルから叩き落とされても、腹立たしいまでに屈強でタフだった象男が、亮二のアイスピックの一刺しで、電池が切れるみたいに動かなくなった。

人間は、どれだけ鍛え上げても急所だけは絶対に守れないという証明。

そして、如何なる人間に対しても確実なる必殺性を持つ、暗殺者という存在の脅威の証明だった。