ケータイ小説 野いちご

Tokyo Dark Side

野獣喰らい合う

リヤカーを引きながら、ホームレスの男性が歩く。

雑踏の中、人々は薄汚れて何日も風呂にさえ入っていないようなこの男性を避けて通り、鼻を突く体臭に顔を顰める。

そんな中にあって。

「よぉ」

1人の男だけは、彼にすすんで声をかけた。

ホームレスの男性は、欠けた前歯を隠しもせずに笑う。

「こりゃあ我妻の旦那。お久し振りです」

「儲かってるか?」

「儲かってたらホームレスなんかやってませんよ」

「そりゃそうか」

そんなやり取りを交わしながら、我妻は一升瓶の日本酒を男性に渡す。

…目を細める男性。

「今日はどういった情報がご入用で?」


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