美奈の診療所。

巽、倉本、永瀬、耕介、そして雛罌粟と環も、沈痛な面持ちで集まる。

クリスが一命を取り留めたのはいい。

だがある意味、死ぬより残酷な結果だ。

数々の凶悪事件を解決に導いてきた彼が、天職ともいえる警官としての生命を絶たれた。

心中如何ばかりか。

「ひでぇ…残酷すぎる…」

巽が押し出すように言葉を紡ぐ。

「狙われてた私を守る為に…クリスさんが犠牲に…」

雛罌粟が責任を感じたように言うが。

「警護対象を守る為に『人間の盾』となるのが警護任務だ。気にする必要はない」

永瀬が雛罌粟に言う。

「おい永瀬、そりゃあんまりなんじゃないのか」

巽が永瀬の胸倉を摑んだ。

「お前公安で長く勤めてる間に、冷血人間になっちまったんじゃないのか?」

「公安は関係ないでしょう」

「他の部署とも連携しないような嫌われ者公安にいるせいで、人間としての血が通わなくなったんじゃないかって言ってんだよ!」

「どういう意味ですか巽さん!」