「あ、お兄さーん。お兄さんってば。

あれちょっと気づいて下さい。

そこの痛い無駄に目立つ赤髪のお兄さん!



そうそう、あなたです、あなた。

よかったー、ここで気づいてもらえなかったらボクだいぶ恥ずかしい人ですよ。



ってあれ、なんか怒ってます?

ああ、痛い赤髪って言ったことですか。

えっと、それはすみません……。



それで何の用だって?

いやいや、用なんかありませんよ。

ってあああ待って待って、待って下さい!

すみませんうそです!

ただ、新入りさんだと思って。



その、ごめんなさいお兄さん。

ここの人みんな冷たくてボクなんか相手にしてもらえないものですから、新しい人が来たのが嬉しかったんですよ。



って嬉しいって言うのは失礼ですね、ここは刑務所ですし。

気にしないって?

お兄さんは優しいんですね。



……あれ、照れてます?

あはは、まぁまぁ、よければ隣にでも座って下さい。



拘置所から刑務所に移動して来たばかりでしょう?

ここなら少しスペースもあるし、ちょうどいいじゃないですか。



ほらほら、はい座って座って。

腰を落ち着けると違いますよ。



……はは、ほらね?