ステュアート魔法学校は随分立派な建物だった。
どこの豪邸だと言いたくなる外観の建物へユリアと一緒に入る。
新入生はこれからすぐ入学式のため、先生達が必死に講堂へ行くよう呼びかけていた。


コンサート会場のような洒落た講堂に着き、椅子に座って待っていると、しばらくして新入生が揃ったのか入学式が始まった。

挨拶や関係者の式辞等、つまらない時間が過ぎる。


と、突然会場がざわざわし始めた。
ティアは不思議に思い隣に座っていたユリアを見ると、彼女はステージを見て顔を赤くしていた。
同じ方向を見ると、見知った人物がにこやかな笑みを浮かべ立っていた。
あまりにつまらなかったせいで、ティアは壇上の人が変わったことに気付かなかったのだ。


「ちょっと、ティア!あの人すっごいかっこいいよね?!40歳、いや50歳……?でも全然歳を感じさせない!誰あれ?!」

ユリアの勘の良さにティアは感心したが、同時にユリアも話を聞いていなかったなと知り、笑いをおし殺した。

「彼はイリア=ユリウス=ウィッチ。この学校の校長よ。
ちなみに歳は48歳。あなたの予想、当たってるわよ」

「そうなの?!すごい若く見えるよ?!
……っていうか、なんで年齢まで知ってるの?!」

「叔父なのよね。あの人」


ガイアの弟であるイリアは随分と顔が良い。
ティアの家系はそれなりに顔が良い者が多いが、イリアは特に良い。
ティアはそのことでよくガイアの愚痴を聞かされていた。


「そうなんだぁ……でもいいなぁ……かっこいいし……」


ユリアも他の生徒もすっかり浮かれたまま、入学式は終わった。