数日後の昼休み、皆はカフェで昼食を摂っていた。
だが、そこにティアの姿はない。


「今日ティアいないのか？」

「あ、ティアなんか今日用事あるから昼休みいないって」

「そっか…残念。
でも、なんかあったのかな」

「さぁ…まぁ、ティアのことです。
昼休みが終わる頃には何事もなく普通にいるんでしょう」

「ふふっ…そうだね！
じゃ、待ってよっか！」



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その頃ティアは、学校から遠く離れただだっ広い荒野に、翼の生えた白い馬─ペガサス─のファイと立っていた。

この荒野は常に天気が悪く、雷雨が続くくせに地面が固くてひび割れているために水は溜まらず、しかも所々毒ガスが吹き出していて草木の一本も生えていない、荒れた土地だ。
人が寄り付かないために魔物の溜まり場になっている。


ティアがそんなところに来たのは、仕事である魔物退治のためだった。

最近ある一匹の魔物がここから、この近くにある村に来て荒らしていくという事件が相次いでいるという。
弱い魔物であれば村人達で倒し対処していたのだろうが、この魔物は村人総出でも倒せないような奴で、退治屋に依頼を出した。


［依頼が来たから、空いた時間にでもやってくれ。
できるだけ早い内にな。
戦利品は全部あげるから。］


前の日の夜に父の鷹が持ってきた手紙を思い出す。

家は国から仕事を依託されることもある有名な退治屋のため、こうなることは分かっていたが、それでも入学して数日で来るとは思っていなかった。

結局、ティアはその仕事を受け、ファイに乗ってこの荒野まで飛んで来たのだった。


ペガサスも魔物の一種のため飼育には資格が必要で、しかもファイはティア以外にはまるでなついていない。
その資格を持っているティアは仕事を任されるといってもせいぜい学校の付近だけだろうと思っていたため、ファイを連れてきていなかった。

そのためここに至るまでに、退治屋の仲間は暴れるファイを死にそうになりながら学校まで連れていき、ティアは資格を持っているからと先生を説得してなんとか、学校でファイを飼育する許可をもらうという苦労をしていた。