木の葉が風に舞う中、汽車が悠然と走っていく。
まだ過ぎ去らない暑さが乗客の興奮をより盛り上げる。

汽車の窓から外を眺めていた長い金髪の少女、ティアは目の前の騒ぎに視線を移しつつ、回想した。



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『じゃあ、行ってきます』
『行ってらっしゃい、ティア。気をつけてね』

ティアの母親、エリザベスはにっこり笑って娘を送り出す。

『一人で大丈夫なのか?確かに学校には今まで沢山行ったが、いやそもそも行く必要があるのか?魔法学校なんて別に行かなくても十分強いだろう。いやもうこのまま家に居ればいいだろう。もうエリザ何か言ってくれ』

『あなたはただこの子といたいだけでしょう。ガイア』

やけに心配性な父親、ガイアをエリザベスが嗜める。

『本当にやりたいことがあるんでしょう?行ってくればいいわ』

『む…そこまで行きたいならな…気を付けるんだぞ?ケガするなよ?…頑張ってな』

エリザベスはティアがやりたいと思ったことはいつも後押ししてきたし、ガイアも、ティアが今までに色んな学校に行った時も、心配しつつ送り出してきた。


淡い金髪を腰までおろし、穏やかな緑色の瞳で見つめるエリザベス。

よく眠れなかったのか、エリザベスより濃い金髪ショートをハネらせながら、青い瞳を心配そうにむけるガイア。

ティアは二人に笑顔を向けた。


『ノルティア=ユリウス=ウィッチ、行ってきます!』



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