「祐一郎……」

私はそっと部屋に入る。

飛び出して来ちゃったからなぁ

怒ってるかな……

「紗耶香?」

「……うん
ごめん」

「バカ!
お前自分が方向オンチだって分かってねぇのか!」

う……

確かに迷った。

「はい……
でも迷ったは迷ったけど助けてもらったから」

「は? 誰に?」

「心っていう男の子」

「ヘンなこと、されてねぇだろうな」

「はぁ?」

ヘンなこと?

「されるわけないじゃん。
わ……俺今男だよ。男」

「……ならいい」

何が言いたかったんだよ。

「心配してくれたの?」

「当然だろ……」

「……ありがと」

当然か……

でもよかった

祐一郎、そこまで怒ってなかった。

安心したら喉渇いたな……

さっき泣いたし……

水分水分

「祐一郎、これ飲んでいい?」

「……ん」

ラベルもろくに見ずに、自分のそばにある缶を開ける。

プシュ

あれ?

これ苦い……?

「っておい!それ酒だ」



マジ?

気づかなかったですます

なんかぽわぽわしてきた……



これは……ヤバいのかなぁ……?