仁美はパソコンの画面を見て満足そうに微笑んだ。

「いい感じだね。あとはデーターを送って確認してもらおう」

「よかった」

 岡本さんと食事をした翌日、仁美にもう一度案を出してみた。すると今度はすんなりと通り、そのまま細かい修正を行った後、彩色まで終えたのだ。自分でもそこそこの出来だと思ってはいたが、正直、ここまですんなり物事が運ぶとは思わなかった。

 一日で技量があがったわけでも、特別素晴らしいアイディアが思いついたわけでもない。ただ、彼と会った後、心の中の靄が晴れ不思議なほど心がすっきりして、心の赴くままにイメージしたものを描き記したのだ。

「かなり早く上がりそうだね。これだと年内でも間に合うかも。先方も早い分にはいいと言ってくれているから、早めにあげられるならそうしてくれるかな」

「分かった」

「わたしも仕事がずいぶん片付いたし、よかったら年末一緒に旅行でも行かない?」

「いいけど、あの人とはいかないの?」

「いっておくけど、わたしとあの人はそういう関係じゃないし、結婚もしていないのに旅行なんて親が許さないよ」

「そんなもんなんだ」

「そうよ」

 仁美は強い口調でそう言い放った。

 自由奔放な印象な彼女のことだ。てっきり親も放任主義だと思っていたがそうでもないらしい。