お姫さまがいなくなった部屋で、魔女はそっと、呟きました。


「ネリネ……わたしの名前……」


お姫さまが消える直前に、魔女に与えてくれた名前でした。

「ネリネ…………あ、」


もう一度呟いて、あることを思い出しました。

お姫さまが来たときに読んでいた本を取り出します。


「ネリネ…………たしか、載ってたはず。」


それは魔女の予想通り、その本の中にありました。

本の真ん中より少し後ろ。


ネリネ。薄桃色の愛らしい花。

花言葉は、“華やかさ“ “忍耐“ “箱入り娘“……


それから、
…………“また会う日を楽しみに”