魔女とお姫さまがおしゃべりを続けている間に、お姫さまの国は朝を迎えていました。

 「たいへんだー!」
 「姫様がいない!!」


その日、城の朝は乳母の悲鳴から始まりました。

それを聞いて駆けつけた衛兵も大声を上げて、騒ぎはどんどん大きくなります。


探しても、探しても、お姫さまは見つかりません。

とうとう王さまは、すべての臣下を広間に集めて言いました。


「なんとしてでも姫を探し出せ」


そこで、王に仕える一人の神官が言いました。


「王さま、姫を拐ったのは冬の世界の魔女です」
 
「なんと! それはどこにあるのだ。どうしたら行ける?」


身を乗り出した王に、神官は1枚の大きな布を差し出しました。
 

「魔女の世界へ行くための魔法陣がここに。いにしえの遺産のひとつです。」
 
「よくやった。皆のもの、姫を救出に行け。」
 
 

こうして、まだ歳若い将軍を筆頭に、姫の救出が始まりました。