「……きろ!稀美果、早く起きろ!」

「………なお…と…ん?…いま…なん…じ……」


直寿に体を揺り起こされ重たい瞼を開けようとしても開けれず稀美果はまだ半分夢の中に居る。


「4時だ、早く起きろ!」

4時……

「……おやすみ…なさい……ムニャムニャ…」

「稀美果デートするぞ!? 良い所に連れて行ってやる! それとも1日寝てるか?」

と直寿は言うと稀美果の反応を楽しそうに待っている。


「で…デート!?」稀美果はガバッと活き良いよく起きる。

「でも、稀美果眠そうだからな辞めとくか?…」

直寿はわざと残念そうな顔をして見せる。


「する。いくいくー…お願ーい良いところに連れて行ってぇ…」

稀美果は瞳を輝かせ直寿を見つめる。


「お前その言い方辞めろ…ヤバイから…」

直寿は目を丸くして口に手を当てる。


「ヤバイって何が?」

稀美果には直寿が言っている意味がわからず首を傾げる。


「何でもいいから早く支度しろ!」

稀美果は着替えを済ませると朝食の支度をしようとキッチンに入ろうとすると『朝食は途中で食べよう』と直寿に言われそのまま出かける事になった。外はまだ薄暗く静まり返っている。
車に乗り込むと直寿はエンジンをかけ静かに発進させる。


「ねぇこんなに早くにどこ行くの?」

「内緒! 朝食はまだ店もやってないしお預けだから稀美果寝てても良いぞ?」

「眠気なんかとっくに覚めてるよ! それに直寿と初めてデート出来るんだもん寝るなんて勿体無いよ!」


稀美果は上機嫌でラジオから流れる曲を口ずさみ時にはDJの話に相槌を打つ。


『皆さんおはようございます「おはようございまーす」今日はいいお天気になるそうですよ「やったー」ドライバーの皆さんは運転に気を付けてくださいね「はーい気を付けまーす」それでは今日の1曲目、Mr.ChildrenでPADDLE』



「♪ほんの束の間胸の中に♫…」