あれは泣いた眼だった。


「クッソー！！ 俺は何やってるんだ！！…」


稀美果を泣かせるつもりじゃなかったのに…








２年前……

毎年行われている懇親会に俺は出ていた。

このパーティーには各界から著名人も多く参加している。
俺も父に付いて参加していた。
いつもは姉の真奈美（まなみ）が参加していたのだが、来年からは俺も社会人になり学園経営に参加していく事になる為

『直寿も顔を繋げておけ』と父に言われ渋々参加する事になったのだ。

俺は会場を見渡していたら壁際にひとりつまらなさそうにしている女の娘に目が止まった。
それはとても綺麗な女の娘だった。

透き通るような白い肌に亜麻色の髪…
見たところ高校生の様だ。


まるで壁の花だな…　あの娘も渋々か？…


「君も渋々参加してるくちかな？ ジュース飲まない？」


俺はオレンジジュースを女の娘に差し出した。
しかし女の娘は受け取らず一瞬睨むと


「お酒飲ませて悪戯でもする気ですか？」と冷たい視線を向けた。


思いもよらない言葉が返ってきたので直寿は目を丸くして驚いた。


フッ…「君、面白い事言うね？」


俺は近くを通ったボーイをつかまえ

「悪いけどこちらのお嬢さんにアルコールの入っていないオレンジジュースを持ってきてくれるかな？」と言い持って来てもらった。


「これなら安心でしょ？」と言うと女の娘は「ありがとう」と言って微かに微笑んでくれた。


それから少しの間他愛もない話をして離れた。