私は、クッキーとコーヒーを用意しにキッチンへ向かう。

確か、来客用の良いコーヒーがあったハズ。ガサゴソとキッチンの棚を探したけど、見付からない。

「あれ?おかしいな……」

廊下の納戸にしまったかな?そう思って納戸へ向かう。

(――ん?)

不意に見た玄関の新聞受け。何かが入っている様だった。

「なんだ?」

下にあったポストにはなんにも入っていなかったし、ウチは新聞を取っていない。不思議に思い、新聞受けを開けてみる。

中には茶封筒が入っていた。しかも結構な厚み。差出人は書いていない。不審に思いながらも中を覗くと、すごい枚数の何かが入っていた。

「なんだ?」

取り出し、中身を見てみる。

「ひっ!」

見た瞬間、衝撃の余り小さい悲鳴を上げ、中に入っていた物を盛大に落としてしまった。

バサバサバサッ!と凄い音と共に、私の足下一面、それは広がる。

「江奈?なんか凄い音がしたけど、大丈夫?」

その音に、雪ちゃんが部屋からヒョコッと首を出した。

「ゆ、雪…ちゃ……」

ブルブルと震える唇で、やっとの思いでそれだけ口にする。

「……どうしたの?その足下に落ちている物、何?」

雪ちゃんが、眉を寄せながら私の元へと近付いてくる。が、落ちている物を見た瞬間、ピタッとその足は止まった。

「……なに、コレ……」

目を見開いて、唖然としている。

当たり前だと思う。

だってそこには、数十枚に及ぶ、私だけが写った写真が、足下を埋め尽くしていたんだから――。