ぬいぐるみはもちろん、水族館のチケット代も、ご飯代も、私が分からない内に全部雪ちゃんが支払いを済ませてしまっていた。もっと言えば、ハナちゃんのお店に行った時だって。

だからと言ってお金を渡しても、絶対に受け取ってくれない。

「これじゃ、私ダメ女みたいじゃないですか……」

ぶつぶつと文句に近い愚痴を呟く。

「……そんな事ないでしょ。アタシが好きでやってるんだから」

「それが駄目なんですって!そんなんじゃ、いつか破産しますよ!?」

「あはは!大丈夫だって」

私の言葉に大笑いして、真面目に取り合ってくれない。……ダメだ、この人。

「と、とにかく!今度ちゃんとお礼しますから!」

「はいはい」

「もうっ……」

止めた。これ以上この話をしていても、多分埒が明かない。

「それはそうと、この後どうする?ハナの所でコーヒーでも飲んで行こうか?明日は休日だし、少し位遅くなっても平気でしょ?」

時計を見ると、8時を少し回った位だった。

「あ、はい。それは問題ないです」

「それとも他にどこか行きたい所ある?」

「え?っと……」

急に言われても、咄嗟にどこも浮かばず悩んだ。