「お店をやり出してからは、見ての通りよ。素の自分を隠さなくて良い分、前よりも生き生きとしてるわ」

先程のハナちゃんを見たら、とてもじゃないけどそんなドラマがあったなんて想像が出来ない。

会ったばかりだけど、私はハナちゃんが大好き。ハナちゃんには笑顔が似合う。その笑顔を、これからも絶やして欲しくはなかった。

「……良かったですね」

「え?」

最後の一口のハンバーグを食べようとしていた津田部長が、私の言葉にキョトンとする。

「素敵なご家族と、津田部長と言う素敵なご友人がいて」

「家族は分かるけど、アタシは何もしてないわよ」

「いいえ。ハナちゃんが立ち直れたのも、ご家族と津田部長がいたからだと、私は思います」

「そ、そうかしら」

「はい。そうです」

私はそう言い切った。だって、自信を持って断言出来る。

「そ、そう……」

津田部長は、照れ隠しなのかハンバーグと残りのサラダを掻き込む様にして平らげた。それをニコニコしながら見ていたら、

「ア、アンタも早く食べちゃいなさい!時間無くなるわよ!」

と顔を真っ赤にして津田部長が言った。

「はぁい」

私は、適温よりも大分冷めてしまったグラタンを口に運ぶ。

(うん。やっぱり美味しい)

冷めてもこんなに美味しいんだから、熱々はもっと美味しいのだろう。

(今度は、火傷覚悟で熱々を食べに来よう)

そう誓い、津田部長より少し遅れてごちそうさまをした。