週末の日曜日。
一緒に来る予定だった優くんに急用が出来てしまったので、私は順と彼の車で市立病院に来ていた。


そう、コズのお見舞いに来たのだ。


先週倒れたことはその日のうちに順にも話していたので、彼もコズに会って励ましたいということで2人でお見舞いに行くことにしたのだ。


コズが大好きなキルフェボンのタルトを買って、大きな病院の廊下を並んで歩く。
仕事の時と違って私服の順は、私の好きなアウトドア系のファッションに身を包んでいて、それも密かにキュンとしてしまう一因だ。


「大野はここで出産するの?」


総合病院なだけあって数え切れないほどの診療科を標榜しており、院内は迷ってしまうくらい広い。
キョロキョロと辺りを見回す順とは対照的に、私はサクサク目的地を目指して歩を進めた。


「地元の古川で産む予定とは言ってたけど……。とりあえず今の状態が落ち着くまではここにいるんじゃない?」

「そっか〜。古川に入院するよりは、こっちの方が近いし柊平も安心だな」

「確かにそうだね」


私たちは何気ない会話をしながら、先週の記憶を辿りつつコズのいる病室へ向かう。
廊下には点滴台を引きながらゆっくり歩くお腹の大きな妊婦さんや、車椅子に乗った妊婦さんがいる。
この間よりも人が多い気がした。