「そっか〜、奈々といる時に倒れたのか。朝から話を聞いてほんとにビックリしたよ。柊平がこっちに来てたのは事情を説明しに来てたんだね」

「須和はコズの診断書を総務に提出しに来たみたい。真野さんも心配してたなぁ……、2人目のお子さん妊娠した時、7ヶ月で同じように切迫早産になって薬飲みながら仕事してたって。コズは即入院だったから、もっと深刻なのかもね……」

「梢に会いてぇよ〜。あの元気印がいないとつまんないよな。市立病院ってお見舞い行ってもいいのかな?」

「昼間なら行けるはずだよ。詳しくは須和に聞いた方が早いわね。今度の休みにでも一緒に行こうよ」

「行く行く〜!梢がハマってるイケメン俳優の写真集でも買ってってやろうかな〜」


事務課の同僚でもあり、私とコズの友達でもある高槻優斗。通称・優くん。
彼とはランチ仲間兼飲み仲間で、よく3人でランチに行っていたのだ。
コズがいなくなってしまった今、2人でランチ中というわけ。


優くんは去年の春に本社に異動してきて、約1年半仕事を共にしている。
超絶イケメンでパッと見チャラ男。でも仕事は真面目。
中身も明るく元気で、コズと似ていてよく笑う。
身長も高いしスラッとしていて、ひとたびニッコリ微笑もうなら周りの女はノックアウト。
すでに社内でも秘書課の女どもがこぞって飲み会の時なんかに彼を誘惑しに来る。
それをシャットアウトするのは、優くんの彼女でもある総務課の久住愛里。こちらは同期で、地味な外見のわりにナイスボディの持ち主だ。


優くんの一目惚れから始まった久住との恋。
詳しく聞く気は無いんだけど、とりあえず去年から付き合い始めてうまくいってるらしい。
彼が実はバイで、男も女も恋愛対象であるってことを知っているのは、私を含めてほんの僅かの人間しかいない。


バイであるが故に、男女どちらの立場からも意見を述べることが出来るのが彼の強みだ。