重厚感溢れる立派な漆黒のデスクの上で、手を組んで顔を乗せ神妙な顔の社長。


このシチュエーションは2度目だ。
今回で終わりにしてほしいな。

少しの沈黙のあと、社長が口を開いた。


「この間は、すまなかった。世話になったな。」

「いえ、大丈夫ですのでお気になさらないで下さい。」


あ、なんだ。もしかして、この前のこと謝りたかっただけかな。


「それで、」


そうですよね。
それだけのはずがないですよね。


「君には大変言いにくいことだが、」


社長は言いかけて、私から目をそらす。


え、なに?!どうしたの?
あのご令嬢に訴えられたとかじゃないよね?

心臓が速なり、冷や汗が止まらない。


「中津ワイナリーのご令嬢のことなんだが、」

「…はい。」


「あの後、慰めてくれた元カレとよりが戻ったらしい。」



…ん?なんだって?


「っはあ?!」