それからすぐに、社長が私の肩を抱いて会場から連れ出してくれた。


そのとき、ご令嬢に断りを入れていた気がするけどワインが入ってしまった目が痛くて内容までは聞いていなかった。


思いの外の量が掛かったんだけど。
社長、もうちょっとワイン飲んでてくれたら良かったのに。


「悪い、大丈夫か?」

「大丈夫です。慣れてるので。」


そう言うと、社長の顔は心配そうな表情から怪訝そうなものへと変わる。


会場を出るとすぐに社長と私のコートを持ったホテルスタッフが来た。


「お客様、どうぞお使いください。」


ずぶ濡れの私に差し出したのは、タオルだった。