─日夏side


『好きになったんだ……?』


突然、猪原くんがそんなことを1人で呟きだした。


すき?


スキ……?


好き………?


「ええっ!! 猪原くん、もしかして、私の事好きなの!?」


「はぁ!? ちょっ」


え、ウソ……。


猪原くんの顔真っ赤だ。

「ウソ……。ほんと?」


すると、猪原くんは真っ赤な顔をフイっと背けて、コクンと頷いた。



「ウソ……みたい」

「……んでそうなんだよ」


「だっ、てあの猪原くんだよ!? 絶対、ムリだって思ってたのに……」


今だって、まだ信じられない……。


「うっせーよ……。お前といると調子狂うんだよ」


「ねえっ!! じゃあ好きって証拠見せてよ!!」

「はぁ? 例えば?」


例えば、かあ……。



「キス……とか?」


「…………」


自分で言って自分で恥ずかしくなった。


「う、ウソだ……んっン」


「これで、信じた……かよ」


あれ……。


「い、いまっ!!」

「お前が言ったんだろ」


き、キスされた!?




保健室のベッドの上……。


私たちは、お互い真っ赤な顔をして固まっていた。