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「なぁ、聞いた?昨日鳳皇とどっかの族がやりあったらしいぜ」


「聞いた聞いた。どっかの族っていうかこの辺一帯の族が集まって鳳皇に喧嘩売ったって聞いたけど」


「え、マジで?じゃあなんで鳳皇が勝ってんだよ。そんだけいれば流石に勝てるだろ」


「あー、お前知らねぇんだ。昨日の抗争で鳳皇の“鳳凰妃”が消えたらしいぜ」


「はぁ?鳳凰妃が?」


「そ。詳しくは知らねぇけど、なんか倉庫に残ってた所を襲撃されたらしい」


「って事は拉致られたってこと?」


「んー、そうじゃね?じゃねぇと黒皇があんなにキレねぇだろー」


「え、黒皇キレたの?」


「らしいぜ?じゃなきゃ勝てねぇって。だってさ、考えてみろよ。この辺一帯の族が一斉に鳳皇を潰しにかかったんだぜ?それなのに負けるとか、それしか考えらんねぇだろ」


「まぁ、確かに」


「って言っても黒皇一人の力じゃねぇんだろうけどな。鳳皇側には隣県のNO1、獅鷹も付いてたって言ってたし」


「……へぇ、あの獅鷹がねぇ。そりゃ勝つのも分かる気がするわ」


「だろ?N県とS県のNO1が揃ったらそりゃちょっとやそっとじゃ勝てねぇって」


「確かに。だから底辺の奴等は手を組んだのか」


「そ。結局負けたけどな。まぁ、鳳皇も獅鷹もだいぶダメージ負ったらしいし、今が攻め時って思ってるチームが多いみてぇだぜ?ま、これからが勝負ってとこじゃねぇの」


「へー。でも、鳳凰妃がいねぇんだったらまだ黒皇の機嫌良くねぇんじゃねぇの?」


「そういやそうだな。俺だったら今のタイミングで鳳皇に手出さねぇかも。死にに行く様なもんだろ」


「言えてる。わざわざ自滅しに行くとか馬鹿としか思えねー」


「まぁ一チームはいるだろうな。そんな馬鹿なチームが」