「マジで……」


私の目の前にそびえ立つのは有名な超高級ホテル。


1番てっぺんを見ようとも高すぎて首が痛くなるくらい……


「ほら、さっさと歩けよ。ノロマ」


「だって、こんなところ入ったことないし!私、やっぱり帰る」


踵をかえす私に桐谷は


「お前の親父、どうなるかな」


私は桐谷を睨みつける。


「分かってんだろ。何度も言わせんなよ。行くぞ」


桐谷はそう言うと、入り口へと吸い込まれるように入って行った。


く、悔しい!!


けど、今はおとなしく従っておこう。


ただ黙っておけばいいって言ってたし。


私はそう自分に言い聞かせ、慣れないヒール音を鳴らしながら建物の中へと入った。