ケータイ小説 野いちご

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寒い夜に

すべてを失った夜

「国の恥さらし!」

「消え失せろ!」

「死んじまえー!」


私は、耳をふさいで
ベッドにもぐりこんだ。

城の中まで、
民たちが自分に浴びせる
罵声が聞こえてくる。

カーテンを少しだけ開け、
隙間から下をのぞくと
罵詈雑言でうめつくされた旗や
武器を持った人々で庭が覆われ
地面の色がわからなかった。


この前まで、
「姫様ー!こっちを向いて!」
「なんてお美しい姫様なの」
と、口々に言っていたではないか。


…敵国の人だからといって、
その人まで敵ではないじゃないの。


私は、敵国の王子と恋に落ちた。

王子との駆け落ちを目論んだ。

そして、結果は失敗。

私の国の兵士に
ふたりそろって捕えられ、
王子は死刑になった。

私は、
唯一愛した人を失い、
唯一の居場所を失った。





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