ケータイ小説 野いちご

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泣いてもいいよ。

◆初恋と優しさ







 桜の花が散って新緑が芽吹き出す5月初旬。

 千夏ちゃんと仲直りした日以来、私達は少しずつ友達としての距離を縮めていって、教室ではいつも一緒に行動するようになっていた。

「唯~っ、急がないと学食の席埋まっちゃうよー!!」

「わーっ。ま、待って千夏ちゃん」

「あたし、先行って席とってくるからっ」

 4時間目の体育の授業を終えるなりフルスピードで着替えを済ませて更衣室から飛び出て行く千夏ちゃん。

 何事にも行動が素早い千夏ちゃんと違って、動作がとろい私はワイシャツのボタンを1個ずつ留めながら「本当に置いて行かれちゃった」と衝撃を受けてオロオロしてしまう。

 そんな私を見て、近くにいたクラスメイトの美希ちゃんと朱音ちゃんがクスクス笑い「ドンマイ」と励ましてくれる。

「千夏ってば本当せっかちなんだから。学食の席なんてそんなすぐ埋まらないのに」

 明るい髪色にばっちりメイク、着崩した制服姿に膝上丈のミニスカートを穿いているギャル系の美希ちゃんが、手鏡片手にファンデーションを塗り直しながら呆れた様子でぼやく。

「あはは。違う違う。高木ちゃんの目当ては毎月10日に学食で販売される限定5食の大トロ丼の方だから。先月は入学したてでスペシャルメニューの存在を知らなくて食べ損ねたから、今月こそは絶対食べる!って今朝から意気込んでたよ」

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