ケータイ小説 野いちご

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泣いてもいいよ。

◆弱虫と孤立






 本音を隠すようになったのはいつからだろう?

 小さい頃は、もっと素直に甘えられていたのに。

 両親が離婚する少し前から、私は誰にも正直な気持ちを話せなくなっていた。

 まだお父さんとお母さんが仲良かった頃は、今日、学校であったことや、友達のことを笑顔でふたりに報告していた。

 でも、お母さんの会社が軌道に乗って、サラリーマンのお父さんと収入に格差が開くようになってから、家族の仲が少しずつおかしくなっていって。

 ファッションブランドが有名になればなるほど多忙を極め、家にいる時間よりも外で働く時間が増えていったお母さんに、お父さんは不満を募らせているようだった。

 私は私で、参観日も、運動会も、学芸会でさえ、学校行事の全てをお母さんが来てくれないことに寂しさを感じていた。

 なんとか仕事の合間を見つけてお父さんが学校に駆けつけてくれたけど、お母さんの姿がないことにしょんぼりする私を見て、密かに心を痛めていたのだろう。

 子供の教育方針や、家族のありかたについて今一度真剣に話し合おうと歩み寄るお父さんに、タイムスケジュールに追われて忙しいお母さんは相手にするのも疲れた様子で……。

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