捻挫した足首もすっかり良くなって、球技大会が間近に迫ったある日のお昼休み。

私は購買でゲットしたカレーパンを持ったまま、キョウとありさにあることを話していた。

それを聞いて、私の前の席を借りているありさが、驚きと困惑が混ざったような顔をする。


「逢坂くんが、本当はふたりのことを覚えてるかもしれない……!?」


私が言ったことを反すうする彼女に、小さく頷いてみせた。

今話したのは、以前保健室で律と交わした会話で感じた、あの引っ掛かりのことと、私の推測。

すでにご飯を食べ終えているキョウは、窓枠に寄り掛かって腕を組みながら言う。


「言われてみれば不自然な気もするけど、それだけじゃ証拠不十分だぜ」

「そうなんだけど……でも今もあったの、あれ?って思うことが」


それは、このカレーパンを買いに購買へ行った、ついさっきの出来事。

運良くひとつだけカレーパンがあるのを見付けて手を伸ばしたら、前方から誰かの手が伸びてきた。

まさか、またキョウ!?と思って、バッと顔を上げると。

そこにいたのは、同じく顔を上げて目を丸くする律だったのだ。