私は石川七海(いしかわななみ)、高校一年生。




少女マンガ、携帯小説、甘いものが大好きな、いわゆる今どきの女子高生。




ちなみに得意な教科は英語で、苦手な教科は数学。




そして今は、その数学の授業中…なんだけど、全然わかんない。




「じゃあ(2)を、石川!面積はいくつだ?」




「え!?え、っと……」




なんて答えたらいいの~!




その時、隣の席から気持ちよさそうな寝息が聞こえてきた。




シーンとしている教室ではさほどうるさくない寝息でも部屋に響いてしまう。




「ん?おい!高橋!寝てるってことはもう終わったんだな?(2)の解は?」




「うーん、-10かな?」




「面積がマイナスになるわけないだろ!」




「あ、確かに!そっかそっか」




クラスのみんなはそのやりとりを聞いて笑い出した。




そしてその状況を作り出した張本人ーー高橋奏也(たかはしそうや)も、何も気にせず楽しそうに笑っていた。



奏也は場の空気を和ませるのがうまい。



今のはたまたまだけどね。



しかも私、答えずに済んだしラッキー♪




「じゃあその後ろの斉藤!代わりに答えてくれ」



「30です」



「正解だ」




わぁーさすが賢人。



今クールに答えたのが斉藤賢人(さいとうけんと)。



メガネをかけていて頭がいいという、いかにも優等生な感じの男子。