急に叫び声も動揺する声も聞こえなくなった。



目を開けると、この空間には翔斗とあたしと尚くんしかいなくて……。



あたしを覆うように抱き締めてくれた翔斗はゆっくりと離した。



「未桜、大丈夫か?」



声を掛けてくれた翔斗の言葉にコクンと頷いた。



尚くんはあたしたちの目の前にいるけれど、少し離れたところにいる。



「未桜ちゃん、ごめんね。



約束は守ってくれたけど、優勝できなかったから翔斗が死ぬまでやるよ」



尚くんは持っていた杖をあたしたちの方向に向けた。



「そんな!尚くんやめて!」



もう尚くんの目はいつもの優しい目じゃない。



氷のように冷たい冷たい目をしている。



「未桜は俺の背中に隠れてろ、絶対に出てくるなよ」



そう言って翔斗は杖を構えて、あたしを背後に隠した。