サイトに書かれている住所を地図検索してみると、一度だけ行った事のある服屋さんだった。


秋の空の下、あたしたちは歩き出した。


少し前までなら20分歩くなんて耐えられなかったかもしれないが、今は丁度いい気温だ。


「あの店でオークションが開催されてるってこと?」


「たぶん、そうなんじゃないかな?」


エレナとあたしはそう言いながらも同時に首を傾げた。


その服屋はとても狭い店内で、イベントができるようなスペースはない。


商品はどれも個性的で、そしてものすごく高価なものばかりを扱っていた。


コアなファンじゃないとリピートして買い物に行くことはないだろう。


そんな印象的なお店だったため、あたしたちはよく覚えていたのだ。


「オークションってことは、沢山人が来るだろうし、入れるわけないじゃんね」


あたしがそう言うと、エレナはなにか思いついたように「あっ!」と、声を上げた。


「もしかして、会場に到着した時あたしたち2人しかいなかったりして!」


「えー!?」


エレナの言葉にあたしは目を丸くする。


だけど、その可能性は十分にあると思った。