朝日が昇り外が明るくなり始めたころ、ようやくエレナとのメールは途切れた。


夜の暗闇から解放されて落ち着いたんだろう。


あたしはそっとスマホを置いて目を閉じた。


登校時間までまだ時間はある。


ベッドの上で大きく深呼吸を繰り返した。


できればオークションのことなんて忘れてしまいたい。


でも……《画家の手》を買ったのはクラスメートの藤吉さんだ。


彼女は今日学校へ来るだろうか?


普通に考えたら、両手を切り落とされた翌日に登校してくるなんてありえない。


でも、もし登校してきたら……?


あたしは目を開けた。


そう考えると、少し眠ろうと思っていた頭がどんどん覚醒されていく。


オークションを知っている人間にはオークションの話をしてもいいと言っていた。


つまり、藤吉さんから話を聞く事は口外した事にはならないはずだ。