男たちに連れてこられた先はコンクリ―トがむき出しになった6畳ほどの部屋だった。


机も椅子も、なにもない無機質な部屋に乱暴に投げ出されヒヤリとする。


肩から担がれていたエレナも床に投げ出され、痛みに呻いた。


「エレナ!」


真っ青な顔をしたエレナにこんな事をするなんて、こいつら普通の人間とは思えない。


あたしは男たちを睨み付けた。


「こんなことして、許されると思ってる!?」


そう言うと、1人の男がおかしそうに声を出して笑い始めた。


それをキッカケに男たちは大きな笑い声を上げる。


「なにがおかしいの……?」


「これをもう一度よく読むといい」


最初に笑い始めた男がスーツのポケットからスマホを取り出し、あたしに突き出してきた。


画面にはあたしにも送られてきていたサイトのメールが表示されている。


全く同じ内容に目を通していると、下の方に注意書きがしてあることに気が付いた


《※会場内では法律は通用しません。なにがあっても責任はとれません。
また、会場内での出来事は口外してはいけません》


小さなフォントで、見落としてしまいそうなほど下の方にそう書かれている。


「なにこれ……」


会場内で法律は通用しない?


そんな事……。


あるはずがないと思ったけれど、ステージ上で行われていたことを思い出すと、そう言い切ることはできなかった。