ドアを開けるとそこは薄暗い階段だった。


下へ下へと延びている階段の、所々にオレンジ色の裸電球がぶら下がっている。


まるでお化け屋敷のような雰囲気で、店内よりも室温が下がったような気がした。


そんな空間に一瞬ひるんだものの、あたしは階段をゆっくりと下りて行った。


まるでトンネルの中にいるように、自分の足音が周囲に響く。


エレナがあたしの後に続いて階段へ差し掛かった。


その時だった。


バンッ！


と、大きな音が響き渡り、驚いて振り向いた。


ドアはキッチリと閉められて、その向こうでは試着室を元の場所へ戻す音が聞こえて来た。


「ねぇ……大丈夫かな……」


エレナがあたしの手を強く掴んだ。


「大丈夫だよ。ただのオークションなんだから」


本当は緊張していたけれど、あたしは強がりを言って再び階段を下りはじめたのだった。