それは暇な日曜日だった。


あたし、北川藍那(キタガワ アイナ)は、クラスメートの清井エレナと2人、自分の部屋で漫画を読んでいた。


あたしとエレナは梅上高校の1年生で、あたしたちは入学してからすぐに仲良くなった。


長いストレートの髪をポニーテールにしたエレナはクラス内で一番可愛くて、大きな瞳はいつもキラキラと輝いていた。


未来には希望を幸せしかない。


そんな風に思っているようにも見える。


前向きなエレナと一緒にいると、あたしも同じように気持ちが前を向いてくる。


中学までずっとショートカットだった髪の毛を伸ばそうと思ったのは、そんなエレナに少しでも近づきたいと思ったからだった。


あたしはようやく肩に届く長さになった自分の髪に触れた。


エレナと違ってゴワゴワとしてまとまりのない髪。


短いとすぐにあちこちにはねてしまうのが悩みだったけれど、中学まで陸上をしていたので長い髪はうっとうしかったのだ。


もっと伸びてくれば、きっとまとまりが出るだろう。


そう思っていると、漫画を熱心に読んでいたエレナが顔を上げた。


その顔はいつも以上に輝いている。


「この漫画、すっごく素敵!!」