「誰もこない〜、最近ここ過疎ってきたなぁ」

そう言って私は、画面をみながら頬杖をつく。
この某チャットに通いはじめて1年がたつ。
はじめたての頃の私は中学3年生で、受験真っ只中だった。でも、受験勉強に集中することが出来なかった私はチャットに逃げていた。その頃は、このチャットもワイワイと賑やかで、私の癒しにもなりつつあっていた。

ふとそんな事を思っていると、

「…お、誰かきた。…紘人?」

話した事がない人がチャットに入室してきて、名前を口ずさむ。
一応挨拶はしておこうと思い、

『こんばんは〜』

と、挨拶をした。
すると、すぐに、紘人というハンドルネームの人から

『こんばんは』

と返信がきた。

な、何話そう?心の中で何を話そうかと考えていると

『ここ、過疎ってきたんだな^^;』

ん?この人前からいる人なのかな?

『ですよね(汗) 最近過疎ってきましたよね』

『ああw ん?ここ前からいる人なの?』

『あ、1年前くらいからいます(*^^*)』

『そうなんだ^^ あ、俺高2。夕雨は?』

「夕雨」は私のハンドルネームだ。

『あ、私は高1です!』

『そうなんだ。よろしくw』

『よろしくです〜』

それから1時間程、「紘人」という男性と話し続けていた。

『じゃあ、そろそろ落ちますね!今日はありがとうございました』

そう言って今日の会話は終了した。

その日は彼の事を思い出す事はなく眠りについた。