社長と腕を組み、往来を行く。

 ガッチガチに緊張…と思いきや、彼は巧みな話術で燈子をすぐに笑わせた。

 つい地が出て、友達のように気安い言葉を遣う燈子を、彼はやんわりと嗜めた。

「今風の言葉遣いか。私は構わないが…ビジネス的には……ね」
「す、スイマセンっ、私…」

「姿勢と話し方で、自ずと自信がつくものだよ」

 穏やかに微笑んだ彼に、燈子は恥じ入っ俯いた。

「自信なんて…私、全くダメ社員なんです。いっつも失敗ばかり。
 オオカミ課長にも “役立たず” って怒鳴られてばかりで」

 三鷹社長は、急に渋い顔をした。

「そうか、君を怒鳴のか彼は。
案外、女性の扱いがなってないようだ」

「え、……あ、でも!」

_マズイ、
 社長の評判を下げでもしたら、きっと後から殺される_

 燈子は慌ててフォローした。

「優しい時だってあるんです!
 一緒にお客様に謝ってくれたり、懲りずに何度も叱って教えてくれて、今朝だって一緒に探し物…」

 あ、いけない。これは内緒だった。

 はっとして、口をつぐんだ燈子の唇に、三鷹社長は人差し指をそっとあてた。

「今夜は他の異性の話は、NGだよ」

「は、はいぃ…スミマセン…」