2人が連れ立って出ていったのを見計らい、大神は社長室を脱出した。

 _何だよ、赤野のヤツ。
 あんな嬉しそうにしやがって。目の黒いとこがハートの形になってたぞ。
 俺の方が若いし、数倍イイって(←?)言ったくせによ_

 やり取りの一部始終を通気孔から見ていた大神は、悶々としながら課へ戻っていた。

 逸る心が自然と歩みを速くする。

_にしてもアイツ…度胸あるよな。
比べて自分の、何とカッコ悪かったことだろう。

 彼女はきっと、幻滅したに違いない_

「くそっ」

 なかなか来ないエレベーターに苛立ち、ガンと扉を蹴りあげる。

 後ろにいた掃除業者のおばちゃんがギョッとした顔でカートを引いた。

 にしても危険だ、危険すぎる。

 まさかの展開に、大神は焦りを隠せない。整った爪を噛みながら、エレベーターの天井を睨み上げる。

 何とかして阻止しなければ。 

 でないと彼女は間違いなく___


三鷹社長に喰われてしまう!