「 立本ー! 」

ー ドンッ ー

「 わあっ⁉︎ 」

声が聞こえたと思ったら、急に背中を

押された。

こんなことする奴、あいつしかいない‼︎

振り向くと、やっぱりあいつが

笑ってた。

「 もうっ。いっつも、いっつも……
やめてよね? 高井っ 」

高井 友也。

クラスのムードメーカーで、

サッカー部の副キャプ。

「 いいじゃん?俺ら、友達だろ 」

友達……。

いつも 何かとちょっかいをかけてくる

こいつは、

無邪気な顔で、あたしを「 友達 」 だと

言う。

「 友達だからって、なんでもしていい
とでも 思ってんの? 」

「 うん 」

そう言って、高井は笑う。

明るすぎる笑顔が、まぶしいよ。

「 よっ、……よくない‼︎ 」

赤くなった顔を 隠しながら言うと、

「 えー。いじわる 」

なんて言いながら、笑かけて来るんだ。

「 お〜い。ゆーやー‼︎ 今からグランドで
サッカーするけど、来ねえ? 」

サッカー部の男子からのお誘い。

「 おー! 行く、行くーー 」

高井は、片手を上げて反応を返し、

あたしに背を向ける。

「 じゃあ、また後でな、立本 」

「 ハイ、ハイ。早く行けば? 」