「唯斗、ちょっと来い。」

次の日の昼休み、担任に呼ばれた。

「昨日、お前らしき人を屋上で見たという奴がいたんだがな、フェンスを越えていたと言うんだ。本当か?」

誰に見られていたんだろう。

もしかして、彼女か?

いや、しかしきっと違う。

確証はないが、そんな気がしてならなかった。

「屋上には行きましたが、フェンスは越えてませんよ。見間違いじゃないですかね?」

そう言うと、

「そうか、まぁ、お前がそんなことするとは思えなかったからな、一応確認だった。

手間取らせて悪かったな、行っていいぞ。」

そう言って、すぐに開放してくれた。

真面目で、社交的で、交友関係も上々、親にも先生にも、生徒男女どちらからの信頼も厚く、爽やかで頭がいい。おまけに気が利いて優しい。

こんなに出来上がったパーフェクト人間の言葉を、誰もが信用する。