夏休み、最初の土曜日。



――ドォン

―――ドォン パンパン



今日は、地元の花火大会がある。
大きくはないけど、町中を上げて盛り上げてるお祭りだ。

六時を過ぎた頃から、すでに花火の心臓の奥を鳴らす音は響いていた。



「全員そろってる?」

「いち、にい、さん……七人。 揃ってるよ~」



毎年、クラスの女の子達と遊びに来てたんだけど。
でも、今年は中学も最後の夏休みだからと、そこに数人の男子も加わっていた。

女の子四人…男子三人。
その中には、大樹もいた。



「やっぱさぁ、浴衣っていいよね。 なんつーか女に見える」



そう言って、顔中に笑みを零したのはエロで有名な信吾。
信吾のその言葉に、浴衣を着た女子は怪訝そうな顔をした。



「誰~? 信吾呼んだの」

「いいじゃん、みんなで盛り上がろうぜ」



眉間にシワを寄せて、あからさまに嫌そうな顔をした奈々子を見て信吾は唇を尖らせた。


カランコロン


心地よ下駄の音が路地に響く。


着慣れない浴衣に苦労しながら、みんなの後ろをついて歩いた。
しばらくすると、花火独自の煙の匂いが鼻をつく。