ジージジジジ……

ジジジジ…



「う~ん…」


開け放った窓からは、すでに蝉の大合唱が聞こえる。



うるさい…。




肌にべっとり張り付いたシャツ。
扇風機から送り込まれる風は、温風で。

気持ち悪くて、あたしはゴロンと寝返りをうった。




首筋に流れる汗。




「あっつーい!」



なんでこんなに暑いのよッ!

蝉の鳴き声がさらにこの暑さを倍増させ、あたしをイライラさせた。



シャツで流れ落ちる汗を拭い、あたしはガバッとそれを脱いだ。



こんな暑いのに、着てられるかッ!



『……ん、んん』

「……」


背後で、咳払いらしき声。



この夏の熱気にあたしも幻聴が聞こえ出したか…。



「もぉ、クーラーつけてくれないなかぁ。 ケチだよなぁ、お母さんって」



せめても、と。
あたしは扇風機を目の前に持ってきて、ブラジャーに手をかけた。



この中が、汗びっしょりだし……



『う…ゴホンッ! んッ んんん!』

「…・・・」



……誰ッ!?